Fig.1. HR changes during the session.
にかつ適切に反映する指標が含まれていることが重要である。しかしながら、これまで高い強度のトレーニングによって日常生活の身体活動水準が高められるかどうかについて一致した報告はない2,14)。さらに、日常的に実施することが比較的容易であると考えられる低〜中等度の強度のトレーニングの影響についてはほとんど明らかにされておらず、これらの身体トレーニングの影響をどのような指標によって検討するかについても十分検討されていない。 そこで本研究では、運動習慣を持たない中高年齢者を対象に日常的に行える内容の低〜中等度強度、低頻度のトレーニングを実施した場合に日常生活の身体活動水準が高まるかどうか、そしてそれにともなう身体作業能力に関連した変数の変化をどのような指標によって評価することができるかについて基礎資料を得ることを主な目的とした。 研究方法
1. 被検者
本研究で被検者としたのは、前年度の調査研究に参加した被検者のうち、日常生活において特に運動習慣のない43歳〜66歳の女性6名であった。トレーニングの開始に先立ち、被検者全員に研究の趣旨・目的と測定にともなう危険性について説明し、本研究の遂行に同意する旨の同意書を得た。表1に被検者の身体的特徴をトレーニング期間前後で示した。 2. トレーニング内容
週に1回、約60分間の運動プログラムを10週にわたって実施した。運動プログラムの構成はウォーミングアップ5分、ストレッチング5分、リズム体操10分、ダンベル体操10分、バドミントン20分、クーリングダウン10分であった。運動強度は第1週から第5週が年齢から推定した最高心拍数(HRmax)の60%、第6週から第10週が70〜80%HRmaxを目標とした。心拍数は毎回1〜2名の被検者にCanon社製心拍数記録器HRモニターPE.3000を用いて測定し、適切な強度が得られているかを検討する指標とした。図1に運動プログラム実施中の心拍数変化の記録例を示した。 3. トレーニング前・中・後の測定項目
(1)平均歩数 被検者の日常生活における身体活動水準を推定する指標として万歩計から1日の平均歩数を記録した。前述したように、各被検者は特に運動習慣をもたず、また日常生活の移動手段は主に歩行であったため、この指標によって日常生活の身体活動水準の推定がある程度可能であると思われる。
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